QUEST LOG · October 12, 2026· UPDATED October 29, 2026

AI にゲームのシナリオを書かせたら、「三百年」が 308 回出てきた

文字数が足りないなら、AI ライターを何人か増やせばいい。結果、文字数は足りたけど、同じような会話も一緒に増えました。

いま作っているゲームのシナリオで、「三百年」という言葉が 308 回出てきます。

308 回というのは、8 章に拡張した初稿の全ファイルを合計した数字です。たしかに世界観の重要なキーワードではあるけれど、それにしても多すぎる。その後一度削りましたが、それでも 1 ルートあたり 62〜100 回は出てきます。

シナリオは、何人もの AI ライターに並行して書かせました。文字数が足りなければ人を増やす。その結果、同じ会話まで一緒に倍増しました。


# ライターは 17 人

選択によって分岐するダークファンタジーのゲームで、いまは序章+8 章です。

最初の版は 4 章で、9 人の AI ライターに章ごと・キャラクターごとに分担させて、それぞれのシナリオを並行して書かせました。どのイベントをいつ発生させるかは、統括役の AI が判定します。

でも書き終わって数えてみたら、短すぎました。1 周で 2.3〜2.9 万字、1 時間に届かない見込みで、目標の 2 時間に足りません。

次の版では 8 章に拡張して、ライターは 17 人。まず 9 人が共通ルートを書き、次に 8 人が各ルート、回想、後日談を書く。各自は担当ファイルだけを触り、最後に統括役がつなぎ合わせます。

改稿後の 10 月 9 日時点の計算で、1 周の文字数は 5.8〜7.3 万字。最初の版の約 2.5 倍です。ここで数えているのは原文のシナリオで、日本語訳の文字数ではありません。

# 第 1 章で同じ会話が 8 回

自分で頭から通して読んでみた感想は、「核となる展開が全部同じ顔をしている。文章の質が全体的に落ちた。量を書くとこうなるのか。」でした。

第 1 章を調べると、17 シーンのうち 8 シーンが同じパターンでした。主人公が何かに気づき、端末の声が機械的な理由でそれを片付け、主人公が詩的な言葉で返す。説明が「気流」から「通気管の共鳴」に変わっても、会話の形はまったく同じ。

キャラクターの決め台詞や仕草も繰り返されていました。「ドアを 3 回ノック」は全稿で 160 回、「三百年」は 1 ファイルだけで 45 回。シーンの締めも、端末が黙り込むか、誰かが長く見つめるかの繰り返しでした。


# 書き直しのルール

書き直すにあたって、まずひとつ決めました。「このシーンが終わったとき、何が変わったか?」新しいことを知ったのか、それとも誰かが何かを決めたのか。説明を繰り返す文は削って、通常のシーンは 5〜9 文、大きなシーンでも最大 14 文。

同じパターンの会話は、担当シナリオごとに最大 2 回。決め台詞は、誰が何回使えるかを決めました。ただし、後のシーンで回収される台詞は削らない。削る前に検索し、シーン番号と分岐条件はそのまま維持して、2〜3 割減を目標に改稿しました。

1 回目の改稿で、17 人のライターのシナリオは合計 116,711 字から 85,162 字になり、27% 減りました。これは全分岐を合計した文字数で、1 周の文字数とは別物です。

たとえば「……三百年ぶりに、誰かが料理をしている。」は「……誰かが料理するなんて、久しぶりだね。」に変えました。同じ改稿で、台詞と合わなくなった絵も描き直しています。

# AI に 3 回読ませる

書き直しと並行して、AI の読者に頭から 3 回読んでもらいました。

やり方は、ゲームと同じ条件でイベントを 1 日ずつ再生し、実際に表示される順番でシナリオを並べてから AI に読ませる、というもの。3 回目に使ったメインルートのシナリオは、タイトル込みで 1 冊約 9 万字です。

1 回目で見つかったのは、書いたシーンがゲーム内でそもそも出てこないことでした:

  • ボスを倒すと章番号がすぐ +1 されるので、本来「この章の中で」流れるはずのクライマックスシーンが再生されない。あるルートでは、クライマックスの歌を含む約 10 シーンがまるごと消えていた
  • 第 7 章がまるごと詰まって入れない

文章面の指摘は 2 回目に集中しました。真相が明かされる前にヒントを出しすぎて、いざ明かされたときには確認しか残っていない。最後の別れのシーンでは、一人ひとりの名前を呼ぶくだりが 4 回出てきました。

ヒントは最大 3 回、名前を呼ぶのは 1 回だけに。「三百年」は 1 ルートあたり 11〜20 回、全ファイルで 75 回まで減りました。ただ、数字そのものに意味がある台詞は残しています。たとえば、「三百年」自体がオチになっている、賞味期限切れのクッキーの台詞です。

3 回目の指摘は 57 件。その日のうちに 46 件を直し、7 件は一部だけ修正、4 件は仕様どおりと判断して残しました。あと 1 件は AI の読み間違いで、レビュー記録に訂正を残しています。


# 直したあと、もう一度数える

読者の指摘とは別に、シナリオを数えるプログラムでも確認しました。

10 月 9 日のチェックでは、存在しないシーンへの参照も、入口のないシーンも 0。日本語・英語の訳漏れも 0 でした。ただ、入口があるからといって、ゲーム内で必ず出てくるとは限りません。章番号が合わない問題は、実際の順番どおりにシナリオを並べてはじめて見つかったものです。

主要な選択肢を 90 通りに組み合わせるチェックもあります。以前は 27 通りの組み合わせでルート判定が間違っていましたが、ルールを直して 0 通りになりました。ただしこれは、その 90 通りの範囲での結果です。すべての遊び方を試したわけではありません。

# 翻訳とボイスの落とし穴

台詞は 1 文ずつ辞書で日本語と英語を引いています。ここにも落とし穴があって、原文が同じ文だと、話者に合わせて「お姉ちゃん」「姉さん」「お姉様」と訳し分けたくても、辞書では同じ 1 項目にまとめられてしまう。1 回目に読んだとき、こうした衝突が 76 か所見つかりました。

ボイスも台詞に紐づいているので、書き直した文は音声を作り直す必要があります。自動で作り直されるのは、変更した文だけです。

この段階のボイスチェックは、長さ、話速、間、音の高さで怪しいものを拾っています。最終的には自分で聴くしかないのですが、書き直し後に新しく生成したボイスは、まだ全部聴き終わっていません。


# まだやっていないこと

まだ最初から最後まで実際に 1 周プレイして、時間を計ったことはありません。文字数から見積もると 2 時間半〜3 時間半。目標は 2 時間なので、たぶん長すぎます。次のステップは、それを自分で確かめることです。

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