QUEST LOG · October 7, 2026· UPDATED October 29, 2026

10日間、26億トークンで、R15ゲームをitch.ioに出しました

「正直、自分なら 1200 は払わないと思う。でも定価 1200 が 900 に値引きされてたら買う。」

今月をプロジェクト別のトークン消費でランキングすると、1 位は Live2D ではなく、《NEURAL FLESH》というゲームでした。

9 月 27 日に最初の session を開いて、10 月 7 日に itch.io で公開。その間に Claude Code の session が 22 本、合計でおよそ 26 億トークン。最後の「パッケージング+ストア公開」の session だけで 3.98 億を食いました。

この記事ではゲームの作り方の話はしません。「itch に出したい」から「本当に買える」状態になるまでの話をします。ゲームを作り終えるのは半分にすぎなくて、ストアに出すのはまた別の地獄だからです。

ゲームそのもの(ダークファンタジー、序章+8 章、分岐するストーリー、9×7 マスのタクティクスバトル)については、以前のゲーム紹介・シナリオ・タクティクスの記事で書いたので、ここでは繰り返しません。


# まずは前半の 9 日間を早送り

各 session の冒頭で私が打った最初の一言を並べるだけで、この 9 日間に何をしていたかだいたいわかります。

  • 9/27:「@../electron-flesh のコンセプトを使って、でもゲームは threejs で作って」
  • 9/29:「選択肢の分岐を html で一覧にしてくれる? 全体的に今は一本道すぎて、遊びの幅がない感じ」
  • 9/29:「正直 1 周 2〜3 万字は少なすぎる、共通ルートなんて 1 万字くらいしかない」
  • 10/2:「今もらってるフィードバック:タクティクスに入ってからチュートリアルがない」
  • 10/3:「今の頭なでなで、頭皮を引っぱってるみたい」
  • 10/3:「今のタクティクス、遊んでて面白さが足りない……後半はほとんどの人が auto 押すと思う」

4 章を 8 章に拡張し、Sonnet のライターをずらっと並べて各ルートを並列で書かせ、さらにレビュー用のエージェントにトランスクリプトを一行ずつ読ませました。1 ルートあたり約 9 万字です。あるルートは改稿で 9,100 字から 6,600 字まで削られました。ライターが同じお決まりの動作「三回ノックする」を 14 回も使っていたからで、直したあとは 0 回です。

日本語ボイスはローカルで回した TTS で、合計 6,447 セリフ。終盤はもう他のことをするのを諦めて、ひたすら「今の進捗は?」と聞いていました。

あの晩のトランスクリプトを見ると、私の発言は 5 回連続で「今の進捗は?」でした。


# 「itch に出したい、戦略を変えた」

10 月 7 日の深夜 1 時過ぎ、Steam はやめることにしました。DLsite で日本語版を、itch で英語版を売るという形です。

AI はまずルールを確認し(butler は 1 回 2 GB、Web アップロードは 1 GB)、ゲームの初回起動時の言語をストアごとに切り替わるように変えて、4 つのビルドを順番に作り始めました。itch 製品版、itch 体験版、DLsite、DLsite 体験版です。

途中で、Mac 版に Electron/Chromium のライセンスファイルが入っていないこと(Windows 版には入っている)に気づき、パッケージングスクリプトに追加してビルドし直しました。それから DLsite 版を開いて初回起動が日本語になることを、itch の Mac 版を開いて初回起動が英語になることを確認。

完璧な仕事です。そこで私が言いました。

やっぱりまだパッケージングしないで

AI は止まりました。続けて私はこう言いました。

steam release 消して

すると Steam 向けのパッケージングとアップロードを外し、1.2 GB ずつある Steam 用ビルド 2 つもまとめて削除しました。

方針をコロコロ変えていたのは私で、素直に従っていたのは AI のほうです。


# ストア素材:カバー画像がたったの 8 KB

次は宣伝素材です。トレーラー、Shorts、itch のカバー、YouTube のサムネイル、X の告知画像を、英語・日本語それぞれ 1 セットずつ。

やり方は、非表示の Electron ウィンドウでゲーム画面を直接録画し、自動で動くカットを 6 本スクリプト化して(序章、聖所での頭なでなで、移植手術、3D 探索、タクティクスバトル 2 戦)、canvas で字幕とレイアウトを合成する、というものです。

途中のちょっとした落とし穴が、なかなか象徴的でした。

  • 聖所のカットがニューゲームとして録画された:リロード前にゲームが空のセーブデータを自分で書き戻してしまい、AI が仕込んだセーブを上書きしていた
  • カバー PNG が 8〜30 KB しかない:キャプチャしたのが 0 フレーム目で、フェードインのアニメーションがまだ始点にあり、背景の不透明度が 0 だった。つまりほぼ透明な画像を書き出していた
  • Shorts のカバーが 3.6 MB:YouTube のカスタムサムネイルの上限 2 MB を超えていたので、全部 JPG 版を別に書き出した
  • 一度は DLsite 版の CG が 480 枚だと言っていたのに、あとで自分で訂正:実は 495 枚。DLsite の上限は 500 なので、ギリギリセーフ

どれも高度なバグではありません。でも一つ残らず「終わったように見えて、実は終わっていない」ものでした。


# itch:価格欄が $1,007.99 に

同じ日の昼、私は URL を一つ投げました。

https://itch.io/game/new ↗ 入力しといて

AI は最初、itch のセキュリティ認証とログイン画面で止まりました。ログインにはパスワードの入力が必要で、それは AI が代わりにやってはいけないと決められていることだからです。「itch のブラウザ操作できないの? デバッグモードにして」と聞いて、最終的には私がすでにログイン済みの Chrome で開き、そこから AI がフォーム入力を引き継ぎました。

そして:

価格欄が $1,007.99 になっていました:元の $1.00 が全選択されていませんでした。

ちゃんと見直してくれて助かりました。ほかにも、短い説明文が 121 文字で、上限を 1 文字オーバーしていました。

下書き保存、スクリーンショット追加、メタデータ入力、butler 15.32.0 をダウンロードして、4 つのフォルダ合計約 3.5 GB をアップロード。Windows 版は圧縮後 984 MB、Mac 版は 953 MB です。

ついでに itch ページのテーマも作りました。礼拝堂の背景、ピクセルフォントのタイトル、赤い購入ボタン。ここでも itch のエディタが React で制御されていて、プログラムで値を書き換えても認識されず、実際にクリックして実際にタイピングするしかないという壁がありました。


# 価格設定:自分なら買うか?

アップロード待ちの合間に、実はかなり大事な質問をしました。

dlsite は 1200 でちょうどいい感じ、それとも全体的に下げる? 序盤この 2 つの価格と内容でどう思う? 自分なら 1200 は出さないけど、定価 1200 が 900 に値引きなら買う

AI が最初に出した提案価格は itch が US$12.99、DLsite が ¥1,980。どちらも一般的なインディーゲームの相場が基準でした。問題は、これは一般的なインディーゲームではなく、AI で作ったゲームだということです。CG は生成、ボイスは合成、シナリオはライターエージェントの列が書いたもの。プレイヤーが頭の中に思い描く価格は違ってくるはずです。AI がくれた提案は、どれも AI ゲーム向けの価格ではありませんでした。

というわけで、価格はどんどん下がっていきました。itch は $12.99 から US$7.99 に、DLsite は ¥1,980 から税抜 ¥1,100(税込 ¥1,210)に。最初はリリース記念で 25% オフと決めていたのに、フォームを入力する段階で両方ともいきなり 50% オフにして、DLsite は 14 日間、itch のセール価格は $3.99 になりました。

(itch で $7.99 の半額は四捨五入で $4.00 になるはずが、最終的にページには $3.99 と表示されました。こういう細かいところ、自分ではたぶん気づかなかったと思います。)


# DLsite:最後のボタンは私に残してくれた

DLsite も私の Chrome で入力しました。サークル登録は自分でやって、作品登録は AI に任せました。作品形式はロールプレイング、年齢指定は R15、メイン画像とサンプル画像 7 枚をアップロード(アップローダーが一度に 1 ファイルしか受け付けないので、1 枚ずつ上げるしかありませんでした)。

途中、いかにも日本のサイトらしいバグがありました。キーワード欄で2 つ目のキーワードの先頭 1 文字が消えるのです。「マルチエンディング」が「ルチエンディング」になっていました。

最後、AI は「最終確認」ページで止まりました。

DLsite の作品登録はすべて入力済みです。「最終確認」ページで止めてあるので、あとは「登録する」を押して審査に出すだけです。

itch のほうは 13:51 に公開。わざわざログアウト状態でページを取得し直して、一般の訪問者から価格、Buy Now、無料体験版 2 つが見えることまで確認してくれました。


# 最後の最後:宣伝っぽすぎる

公開後、devlog を書かせて「もうちょっと短くできる?」、さらにツイートも書かせました。

宣伝っぽすぎる感じ devlog みたいに個人的な感情をちょっと足せない?

R15 ってことも書いてw もうちょっと口語っぽく

AI はフォームを埋めてはくれるけど、あなたの感情は書けない。 この一文は、私が自分から足すように頼んだものです。


# 学んだこと

  1. ストア公開の作業量はゲーム制作に負けない。 ビルド 4 つ、プラットフォーム 2 つ、英日 2 セットの素材、カバーのサイズ 3 種類。どれにもそれぞれの上限と落とし穴がある
  2. 「終わったように見える」ときこそ、もう一度見る。 8 KB のカバー、$1,007.99 の価格、CG は 480 枚か 495 枚か。全部、見直して初めて見つかったもの
  3. パスワード、審査提出、公開。この 3 つのボタンは自分のために残しておく。 AI がログイン画面で止まったときはイラッとしたけど、あとから考えれば、もともと私が押すべきボタンだった
  4. 価格は自分の財布で考える。 「自分なら買うか」は、どんな市場分析よりも直接的。AI が比べてくる相場は、あなたのゲームの相場とは限らない

10 日間、26 億トークンと引き換えに、公開された itch のページが一つ。

振り返ってみると、一番トークンを燃やしたのはコードを書くことではなく、行ったり来たりのほうでした。章数を何度も変え、Steam を出すと言ったりやめたり、パッケージングの途中でストップをかけたり。AI はどんな決定も高速に実行してくれますが、決定そのものは、やっぱり先に自分でちゃんと考えておかないといけません。 次の作品もストアに出すなら、販路と価格は初日に決めておきます。最終日になって戦略を変えるのではなく。

公開中のアプリ

iOS・Android で無料。

AniSeekr

AniSeekr

MAL・AniList・Bangumi など 6 つのサービスの視聴記録をまとめて、作品の聖地も巡れるアニメ伴走アプリ。

Solid(ar)ity

Solid(ar)ity

プライバシー重視の ID ウォレット。ゼロ知識証明と署名付き名刺を対面で交換、中央サーバーなし。