QUEST LOG · October 15, 2026· UPDATED October 29, 2026
AI アニメの絵コンテを「1 コマ 1 行」にしたら、2 日で 28 本作れた
1 本作るのが楽になったら、時間は「何を作るか」に使われるようになりました。
10 月 8〜9 日の 2 日間で、7 シリーズ・各 4 話の短編アニメを作りました。合計 28 本、約 26 分です。絵コンテをプログラムで組むようにして、絵と声の作り方も変えたあとの制作記録です。
チャンネル名は「異境劇場|IKYO STORIES」。1 本 30 秒〜1 分半くらいの縦型アニメを、YouTube Shorts に上げています。
https://www.youtube.com/@ikyostories
以前、最初に作った 6 本を全部捨てた話を書きました。そのあとやり方をさらに 2 回変えて、ようやく量を作れるようになってきました。ただ、28 本とも機械のチェックは通っていますが、耳での確認はまだ全部終わっていません。
# 以前は 1 カットずつ手作りだった
最初はカットごとに 1 枚ずつ絵を描いて、Canvas で動きをつけていました。剣を振るなら、振りかぶってから振り切るまでを何枚にも分けて、さらにスピード線を足す。見栄えはいいのですが、1 本作るのにものすごく時間がかかっていました。
そこで思い切って「全部、漫画のページにしよう」と決めました。コマが 1 つずつ飛び込んできて、吹き出しがそのまま字幕になる。コマの外から手が伸びてくる、ポーズが切り替わる、声に合わせて口がパクパクする。動きもこの数種類に絞りました。
# 絵コンテは「1 コマ 1 行」
一番効いたのは、絵コンテをプログラムで組むようにしたことです。
脚本にはコマごとに「何が映っているか」「誰がしゃべっているか」「どう見せるか」を書きます。正体が明かされる場面なら、その見せ方を指定して、セリフと演技指示を添えます。「1 コマ 1 行」と呼んでいますが、本当に行数をそろえるわけではありません。1 コマ分の情報をひとまとまりで書いておけば、ページの割り方や吹き出しの位置は、あとからプログラムで変えられます。
残りはプログラムに任せます。ページ割りと、絵の大きさや吹き出しの位置決め。口パク、吹き出しのしっぽの向き、効果音、サムネイルも、同じデータから生成しています。
目標は「絵コンテを 2 時間から 30 分に」ですが、同じ条件でちゃんと測って比べたことはまだありません。それでも、脚本を書いているときにレイアウトのことをまったく考えなくていいのは、本当にかなり楽です。
# 新しい絵は API、部分描き直しは自分の PC
絵は 2 か所で描いています。
- 新しい絵は、API 経由で外部の画像生成サービス(Image 2.5)に投げる。1 枚およそ 16 秒で、4 枚同時に描ける。毎回キャラの参考画像を添えて、顔がブレないようにしている
- 口の開閉や背景の差し替えのような部分的な描き直しは、自分の PC(RTX 4070)で動かしている画像モデルに任せる
最初は全部自分の PC で描いていたのですが、看板に変な文字が出たり、動きがうまく描けなかったりで、ボツ絵だらけでした。新しい絵を API に回してからは、1 本分の新規の絵がだいたい 2 分でそろいます。
絵柄も変えました。キラキラした厚塗り、背景ボケ、逆光。これこそが「AI っぽさ」の正体です。なので、2010 年代のテレビアニメのスクショのような、ベタ塗り+硬い影に変えました。
# GPU が空いていれば、1 文 4 秒
声は、日本語にすごく強い音声合成モデル Irodori を自分の PC で動かしています。GPU が空いていれば、1 文だいたい 4 秒で読み終わります。1 本あたり 11〜29 文なので、声入れだけなら数分で終わります。
まずキャラごとに声のサンプルを 1 つ作り、あとはすべてのセリフをその声で読ませます。1 文ずつ「小声で、早口で」のような演技指示もつけられます。
つまずいたところもあります。
- 低い男性の声が作れない。 「寡黙、クール」と書いても、声は低くならない。最終的には大きいモデルでサンプルを作り、「声変わり後の低く太い男性の声」と指定して、ようやく狙った音程になった
- 「体が小さい」神様と書いたら、子どもの声になった
- 内気な女の子に「小さな声で」と書いたら、超高くて超細い声になった。「低めで落ち着いた声」に変えたら直った
声のサンプルを作るときは、音程も測っています。目標から 1.4 倍以上ずれていたら使わず、その場で止めます。
# 速く読ませすぎると、短いセリフが崩れる
最初のバージョンは、テンポがかなりゆっくりに見えました。セリフとセリフの間が 0.85〜1.45 秒空いていて、セリフが鳴っている時間は全体のだいたい 7 割しかありませんでした。
そこで間を半分に削り、話す速さも上げました。モデルにはもともと「読む長さ」の設定があり、0.8 にすると音程を変えずにおよそ 1.25 倍速になります。ある回は 58 秒から 44 秒になりました。
もっと速くできるか試したところ、0.7 が限界でした。0.66 以下にしてさらに速くすると、「……この人、誰。」のような短いセリフは、どの声でも崩れてしまいます。
聞き取れるかどうかは、全セリフを音声認識の Whisper にかけて、脚本と突き合わせて確認しています。人名は読み間違えられやすいので、名前だけはセリフの中でかな書きにしています。
# 自動チェックを通っても、耳での確認からは逃げられない
毎回、同じチェックを通しています。
- 吹き出しがキャラの顔にかぶっていないか
- 文字が画面からはみ出していないか
- 各セリフの音量は足りているか
- 音声認識の結果が脚本と合っているか
- 動画全体の音量が規定の範囲に収まっているか
- 動画に埋め込んだ見えない透かしを読み取れるか
たとえば『24 時間で記憶を失う私へ』の第 1 話は、62.85 秒、セリフ 27 個。検出された 21 か所の顔のどれにも吹き出しはかぶっておらず、文字のはみ出しもありませんでした。
でも、音声認識が脚本と一致したのは 27 文中 21 文だけ。残りの 6 文は漢字の表記ゆれだけでなく、別の言葉として認識された箇所もあって、チェックログでは「要確認」になっています。
エラーがあるものは公開しません。でも、チェックを通った=完成、ではありません。音量を測って文字を突き合わせるだけのプログラムでは、セリフの演技や BGM とのバランスまでは判断できないので、そこは自分で聴くしかありません。28 本の確認はまだ続いています。
1 本作るのが楽になったら、時間は「何を作るか」に使われるようになりました。次回は、AI に 155 本の企画を書かせて、8 人の AI 審査員に選ばせた話を書きます。
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